南河内のぶどう    辻井 博子

長く寒かった今年の冬も終わりを告げ、皆が待ちこがれた桜の花もいつの間にか散って、今見渡せば山々は真っ新な緑が芽吹いています。
本当に季節の移り変わりの早さを感じずには居られません。
そして我家から見える小高い丘や山の斜面にはもう初夏の訪れがはっきりとわかります。
それは南河内の地域の多くに栽培されているぶどうが小さな小さな本当に可愛らしい花の房をつけ始めているからです。
私の住む太子町や隣接している羽曳野市、柏原市でぶどう栽培が始まったのは100年前からです。
かつては露地栽培が普通でしたが今ではビニールハウスが普及するようになり、安定的に栽培出来るようになりました。
大阪府農政室の調べによると平成18年度の府のぶどう収穫量は5710トンで全国で7位、主流のデラウェアーは4900トンで果物王国の山形、
他に山梨に次いで第3位です。
巨峰は292トンで12位、ピオーネは131トンで13位とまだまだ収穫量は少ない様です。
最近の傾向として、ピーネや巨峰の様に甘くて大粒、しかも食べやすい種無しに人気が集まって来ているようです。
ぶどうの種をなくす為の作業として、ジベレリン処理と呼ばれる花房に植物ホルモンを塗りつけなければなりません。
時期は1月頃なのですが作業時間がずれると後の作業(袋かけなど)も遅れ収穫にも影響します。
今年はこの処理作業がひと月程遅れたのです。原因は原油高です。
例年なら2月頃にはビニールハウス内で重油をたき加温するのですがそれがままならないからです。
更に地球温暖化もぶどう栽培に影響が出て来ているのです。
近年、収穫期になると大雨にみまわれ日照時間が少ない為、後少しという所で実が完熟しなくなるからです。
又高齢化と後継者不足も深刻な問題となっています。
ぶどう畑は山の斜面を利用している所が多く機械化も進みません。
その為平成12年より「南河内ぶどう塾」を開始しました。
ぶどう畑を守る為、地元の農協と府や町が連携して都市住民(ぶどう栽培の経験のない人)にぶどうの栽培の基礎知識や技術を学んでもらい、
ぶどう園管理や収穫時期の作業を手伝ってもらうのです。

ぶどうは果物の中でも育成に最も手間のかかる果物と言われています。
私達が季節と共に店頭に並べられているぶどうを当たり前の様に買い求め口にしていますが、
こんなにも大変な農作業の結果出来たものだと改めて思いました。
そしてぶどうに限らず私達の周囲にある一つ一つの物を作り完成させる迄に、どれほどの労力と苦心が日々続けられているかも気付かされました。

これは全くの蛇足ですが、私の家の少し離れた所に「ぶどうの家」という名の施設が有ります。友人はこの建物を「ぶどうの資料館」だとずっと思っていたのですが、実際は介護老人の為のデイサービスセンターでした。 

 

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